利用者の"生の声" 〜プロサッカー選手・黒川淳史、異色の挑戦!農業ブランド「PITCH to PLATE」で描く新たな未来(後編)〜

「質へのこだわり」と「仲間」の力で描く「PITCH to PLATE」の未来

スポチュニティ: 今回はブランド立ち上げの第1弾プロジェクトでした。黒川選手ご自身が目指す短期・中期・長期での目標はどのようなものをお持ちですか?

黒川: 短期的には、今サッカー選手をしながら農業に関わるということで、まずは地元の嵐山町の農家さんからサツマイモを仕入れて干し芋に加工して販売することに取り組んでいきたいと思っています。これはまさに「PITCH to PLATE」の第一歩です。そこから、水戸シルエラさんや他の選手、他のチームにも賛同してもらい、色々なコラボや加工食品などを作っていきたいと考えています。

スポチュニティ: それが中期的な目標に繋がるのですね。

黒川: はい。そして、僕はブルガリアでの経験もありますし、現在ラトビアにいるので、海外進出も考えています。

スポチュニティ: 「PITCH to PLATE」の海外進出ですか?それは壮大な目標ですね!

黒川: そうです。ヨーロッパに来て感じるのが、ジャパニーズブランドがすごく人気が高いことです。日本のものはかなり良いとされていますし、スーパーに行っても醤油が並んでいたり、寿司は一番メジャーな日本の食べ物としてヨーロッパのどこに行ってもスーパーに並んでいます。この日本のブランド力、そして農産物の質の高さを活かしたい。「PITCH to PLATE」を通して、日本の農産物を世界で活躍させるのが長期的な目標ですね。中期的な目標は、海外で「PITCH to PLATE」が参入し、世界に広がるような事業にしていきたいと思っています。

スポチュニティ: 足元の嵐山町の干し芋から始まり、日本のアスリート仲間との普及、そしてグローバル展開という、非常に大きな広がりですね。

黒川: そうです。イメージは大きく持ちつつ、足元をしっかりと固めていきたい。特に、質には徹底的にこだわっていきたいです。常に良いものを提供できるように、中途半端なものは提供したくない。僕たちアスリートがやるからこそ、より良いものになるんだということを証明していきたいと思っています。これはプロとして培ってきた「質への追求」が、農業という分野でも生かされると考えています。

 

スポチュニティ: 短期・中期・長期の目標をお持ちの中で、今それに対する課題や難しさ、何を乗り越えたいと考えていることはありますか?

黒川: 今のところ大きな課題はなく、出てきたものに対してしっかりと対処していく形で進んでいます。僕個人としては、やはり農業に触れる機会を増やしたいですね。畑に行って農作業をして、実体験を増やしたいなという気持ちが強くあります。実際に土を触り、作物が育つ過程を肌で感じることで、さらに良いものづくりに繋がると信じています。

スポチュニティ: ファンの方々が農作業を支援してくれるコミュニティもあるそうですね。今、農業の実体験やサポートしてくれる方は嵐山が中心ですか?

黒川: 僕自身は嵐山を中心に活動していますが、もう一つの拠点として、女子サッカーチームの水戸シルエラさんの畑が水戸の里町にあって、そこには32人もの仲間がいます

スポチュニティ: 32人とはすごいですね!具体的にどのような方々なのでしょうか。

黒川: 応援団の仲間です。もう水戸に畑があるのですが、そこで野菜を週に1回、ボランティアのような形で週末に集まって、皆で楽しく農作業をしてくれています。来れる人、来れない人がいて、グループとしては30人以上いますが、来れる日に来て農作業をしてくれるという形で、今水戸には32名います。本当に皆、真剣に、そして楽しそうに畑の仕事をしているので、僕が一番手遅れになっています。作業が早くて、かなり自分自身で農家になれるんじゃないかなと思うくらい、みんな僕の師匠みたいな感じです(笑)。

スポチュニティ: もうすでにそうしたコミュニティを作られているのですね。その32人の方々は皆さんアスリートなのでしょうか?

黒川: いえ、ファンの方々です。水戸シルエラチームを応援したい、僕を応援したいという方々が集まってきてくれました。

スポチュニティ: ファンの方々との交流の機会にもなっているのですね。これはアスリートとファンの新たな関係性ですね。

黒川: そうですね。本当に畑の土を一緒に触ることで、より繋がりが深まりました。今、就農者の人材不足などが話題になっていますが、そうした一つの解決策として、誰でも農業に一歩踏み出せる環境を「PITCH to PLATE」で作っていけたらと考えています。多くの人が農業に触れる機会を創出することは、日本の農業の未来にとって非常に重要だと感じています。

スポチュニティ: それは面白いですね。広がるとすごいパワーになりそうです。

黒川: 僕が今日本にいないというのもあるので、なかなか直接お会いすることが難しいです。ただ、シーズンオフなどに日本に戻った際に、嵐山町でイベントを企画したり、実際に干し芋を直接食べてもらったりすることは考えています。リアルな体験を通じて、ブランドの魅力を伝えていきたいです。

スポチュニティ: 今回はクラウドファンディングをご利用いただきましたが、情報発信や仲間集めのところで、さらにスポチュニティが協力やサポートできることはありそうでしょうか?

黒川: はい。第1弾、第2弾、第3弾と続けていきたいと思っているので、そこに常に勝負をかけてもらえれば、ありがたいです。スポチュニティさんのサポートは、今後も「PITCH to PLATE」を成長させていく上で不可欠だと感じています。

スポチュニティ: 今回のプロジェクトをきっかけに、黒川選手にはスポチュニティのアンバサダーにも就任していただきました。発信したい情報がある時には、ぜひお声がけください。

黒川: ありがとうございます。ぜひ活用させてください。

 

プロジェクトを終えて得られたもの、そして今後に向けて

スポチュニティ: 今回のクラウドファンディングを通じて得られたことや、気づかれたことは何でしたか?

黒川: やはり仲間が増えたことは、僕の中ではすごくポジティブでした。そして、色々な方からの温かいメッセージや「これってどういうことですか?」といった具体的な質問が来たことも、僕の中ではすごくポジティブなことでした。ここからしっかりと目に見える結果として残していければ、農業に興味があるアスリートは他にもいると思うので、そうした方々に届いたり、そうした人々が一歩踏み出すきっかけとなれば、僕にとっては嬉しいことなので、今回水戸シルエラの仲間に加わってくれたことは本当に嬉しいことだなと思います。

水戸シルエラは茨城県水戸市を拠点とする女子サッカーチームで、現在関東女子サッカーリーグ2部に所属しています。彼女たちの挑戦はもうすでに始まっていて、この挑戦は、僕の地元嵐山町の特産野菜であるのらぼう菜の種からスタートしました。のらぼう菜は寒さに強く、冬の食卓に彩りを添える伝統野菜です。僕の地元で大切に育てられた種が、水戸の地へ渡り新たな挑戦への架け橋となったように、この「PITCH to PLATE」がアスリートと農家農業の良き架け橋となれるよう、これからも仲間を増やしていき、全国へ、そして世界へと羽ばたいていきたいです。

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